読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

美容院と大塚愛

この週末に髪を切った。

この長さにしたのは、高校1年生のとき、初めて行った団地の美容室で中年夫婦に切られた以来だ。ちなみにこの思い出は、妙にスースーするシャンプーの感覚とともに失敗として私の中に残っている。翌日学校に行くのが嫌で、しょうがないから無理やり長さ2センチくらいの二つ結びにしていった。

今回もそれくらい短くなった。

よく言えば蒼井優、よく言わなければ青木さやかのようになった。これを極めたら蓮舫、究極進化で上野千鶴子くらいまで行くと思う。

というか冷静に考えたら蒼井優蒼井優としては素敵でかわいいけれど、あの髪形かわいいかと言われると別にそんなことはないわけで、まぁとにかくそんなこんなでとても短くなった。

 

まるでショートの見本のように短くなったのは当たり前かもしれないが美容師さんによるところがおおきい。

この美容師さんとわたしの関係は少々複雑だ。

もともと大学時代に通っていた美容室の美容師さんで、大塚愛に似ていたので大塚愛と呼んでいた。

大塚愛はしばらくわたしの担当をしてくれていたが、2年くらい経つとふと姿を消した。たまに同じ美容室に通う人の会話に出てきては「大塚愛がいる」と多少盛り上がる話のネタになるくらいで特別仲が良かったわけではないし、そもそも辞めていく美容師さんもいっぱいいたので、特に気にすることはなかった。

 

それからしばらく経ち、私は就職し、引越しをした。

引越し先の近くに、その美容室の支店があったので、行ってみた。

 

そうしたら、なんと、受付に、大塚愛がいたのだ。

てっきり辞めたと思っていたら、単なる異動だったらしい。

 

美容院に入った瞬間、驚きと、感動と、懐かしさがいりまじり、なんとも言えない気持ちになってしまった。完全に高揚していたが、悟られてはいけないと必死で顔を隠した。

大塚愛は変わらぬ笑顔で「前もきてくれてはりましたよね〜?」と話しかけてくれた。ただいきなりすぎてどうしていいかわからず、私は目を伏せたまま「まぁ」と無愛想に対応してしまった。

瞬時にお互い「失敗した」と思った。

気まずい空気が流れる。

 

再開は最悪だった。

 

 

そこから何回かこの美容室に通ったが、大塚愛がわたしの担当になることはなかった。

あえてなのか偶然なのかはわからない。

大塚愛が私の髪を切らないと知らされるたびに、安堵とともに少しさみしい気持ちになっていた。

 

 

そしてこの週末。

 

 

いつものように美容室にいき、受付を済ませ、席に案内されると、やってきたのは大塚愛だった。

ついに、大塚愛が再び私の髪を切る時がやってきたのだ。

張り詰めた空気の中で挨拶をする。

関係を修復するにはここしかない。

たぶんお互いがそう思っていたのだろう。薄っぺらい会話だったが、リアクションだけは大きく、良好な雰囲気を保つことだけに注力した。

 

 

その結果、わたしの髪は見事に短くなった。

 

 

大塚愛が悪いわけではない。

お互いが、気合をいれすぎて、カラ回りした結果だと思う。

髪を切ってからいろんな人にあったけれど、感触的には2勝15敗といったところだ。

それでもわたしは大塚愛との再出発記念として、この結果を甘んじて受けいれたいと思う。