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「小沢健二 魔法的 Gターr ベasス Dラms キーeyズ」にいってきました

ついにあのオザケンのライブに行ってきました。
あれよあれよとハマったときには彼はすでに活動の拠点をアメリカにうつしていて、しかもあんまり音楽やってなくて、困ったな…と思っているまま数年が経過しました。その間、数回日本に訪れていたようだけれど、ゲリラ的だったり、東京の仲間たちにむけたライブだったりイベントだったりと、妙に選民感が強い物ばかりで、あぁこれはもう一生オザケンを生で拝むことはないんだろうなぁと思っていました。
そんなオザケンが、なんと全国ツアーをやると。これはなんとしてでも行くしかない。ライブが決まってあんなにテンションがあがったアーティストも久しぶりでした。
いっちょまえにボーダーを着て挑んだ6月5日。おそらく最年少世代としてzepp nambaに赴きました。思ったよりボーダー人口少なかったけれど、どこか納得感のある雰囲気のいい大人達がわらわらと集っておりました。そんなライブの感想を書きます。

そう、これが一番悔しくて、オザケンファンを名乗るのに躊躇してしまうことなのですが、私はオザケンをリアルタイムでは知らないのです。オザケンの曲を聞きながら「小沢くんも年とったね〜」って言うこともできないし、昨今のJ-POPの文脈における小沢健二を論じることもできないのです。オザケンを小沢くんと呼べるかどうかの壁。
それでもオザケンライブ最高に最高だったので感想を書きます。


17時開場、やや押してライブは始まります。もう、このオープニングが、めっちゃめっちゃかっこよかった!!!!!小沢健二、並大抵じゃありません。
10、9、8、7…とカウントダウンをし、ついに始まった、1曲目、「昨日と今日」。ステージは暗転したまま。「あぁーあぁー」というフレーズでのみステージはピンクに照らされますが、すぐさま暗転。待ちに待った一曲目、姿を見せずに歌うだなんて、しびれる。これはしびれる。



そこからは新旧合わせて全17曲とアンコール1曲。このツアーで初披露の新曲が7曲です。なんだかずいぶん不思議な感じでした。だってブギーバックも愛し愛されて生きるのさもやらないんだよ。なんじゃこりゃって思ったのは事実です。
それでも音楽の波のようなうねりのようなものに体を預けるのはとても心地がよく楽しかったです。派手に煽ったり声を出すことを強要しないのに、会場がいっきにもりあがる瞬間があるのが、とても音楽の力だなぁと思いました。
旧曲もかなりアレンジが効いていて、イントロでなんの曲かわからないものも多々ありました。それでも聞き覚えのあるギターリフが弾かれた瞬間、鳥肌が立ち、泣きそうになるのは、積年の思いと言えるでしょう?もちろん周りの皆様に比べたら吹いて飛びそうな積年ですけれど、それでも胸にくるものはあるのでした。ずっとCDで聞いて体で覚えたものたちがついに生音となって迫ってくるのは、やはり感慨深いものです。
個人的には「ドアをノックするのは誰だ?」で踊れたのが楽しかったな。


いい年したおじさんが「魔法」を連発し、わけのわからん名前のグッズを売り、朗読までしちゃう(今回はなかったけど)って、傍目から見たら結構イタイと思うんです。ましてやオザケンって歌は上手くないし、時の人感がすごいし、言ってみたら「ダサイ」わけです。渋谷系王子(笑)が50歳手前になって信者たちをひきつれてライブしてるらしいよって言われてもおかしくない。
それでも、音楽をするオザケンは圧倒的だったし、平易な言葉であらわされる歌詞の表現力は唯一無二の迫力がありました。
朝井リョウの言葉を借りれば、「信じてる神がちがう」んだと思い知らされました。*1だから、イタイとかダサイとかそういう言葉で語るのはナンセンスなんだと。もうそういうことじゃないんだと。
新曲は既存曲より抽象度があがり、同時にファンタジー度もあがり、やけにフクロウが出てきたりするんですが、それでもこの人が言いたいことは一貫してブレていない。それがなにかと聞かれると、生の本質だとか愛だとか薄っぺらい言葉になってしまいますが、要はそういうことなのではないでしょうか。最後に歌わされる曲、「その時、愛」ですからね。恥ずかしげもなく「愛」とか言っちゃってますからね。でもって具体的になんなのかよくわからないんだけど、それでもやっぱり「その時、愛」なんだよーってこれ以上は私の語彙力表現力不足により何も言えませんが。聞いてもなんのこっちゃ、だけど、一回踏み込んで考えると、ぐるぐると思考が回転する感じが、小沢健二の表現力だなぁと思います。


アンコールはライブの最初の方にやった新曲「シナモン(都市と家庭)」と「フクロウの声が聞こえる」を再度演奏。そして今日やった新曲の録音を流しておさらいです。1回目聴いたときはギョッとしたものも、2時間のライブの中で聞くとすんなり入ってくるようになっていました。耳が慣れてきたのもあるし、リズムや波に素直になれたのもあると思います。
そして、5からのカウントダウン後、オザケンが「日常へ帰ろう」と言い、照明が消えておしまい。今までみたライブの中で一番スマートな終わり方でした。
例えば、アンコールで一発ブギーバックをやったりなんかしたら、それこそ会場のボルテージは急上昇しまくったでしょう。たった一言「ダンスフロアに」ってフレーズが聞こえるだけで、号泣するファンも多数いたはず。
それでもそうはせず、新曲をもう一度演奏し、最後に「日常へ帰ろう」だなんて、憎すぎる。あぁやっぱり、この人すごいんだわ、こんな終わり方を選択できるなんて、やっぱり天才なんだわと、その才能にひれ伏すには十分な演出でした。安く客に媚びたりしないんだ、そういう文脈で生きてないんだ。


ライブの終わりは19時で、外はまだまだ明るく、さっきまでの2時間はなんだったんだっていうくらい、街が普通に動いていました。しばらくはなんだかぼーっとして口をパクパクしながら帰りました。反芻すればするほど意味がわかるようなわからないような、ただただ最高だったなという気持ちがじわじわと染み出してくる感じ。行きに読んだエッセイに「いい小説には問いがある」という文章がありましたが、いいライブにも問いがあるのかもしれません。
あれはなんだったんだろう、ってぼーっと考えることも幸せです。小沢健二の音楽に触れられる空間は控えめに言ってやっぱりとても最高でした。


 

妙にポエジーな感想のあとに。さぁ聞け!これがドアノックだ!!


小沢健二-ドアをノックするのは誰だ?(LIVE AT BUDOKAN)

*1:朝井リョウSexy Zone中島健人を語るときにつかった表現。