KANA-BOONのフリーライブにいってきた
先週の土曜日、千里中央駅すぐの千里チェルシーでKANA-BOONのフリーライブにいってきた。KANA-BOONは耳に残るフレーズとキャッチーな疾走感のあるメロディーが特徴の新進気鋭のロックバンド、というところか。この間Mステにも出てた。とりあえず動画はっておきますね。
KANA-BOON / ワールド【2013.1.14 HighApps SPECIAL ...
この人たちが千中にくる、ということでいってみた。
純粋にKANA-BOONが見てみたいというのももちろんあったのだけれど、いわゆるロックバンドのライブというものじたいに行ったことがなかったので、そちらの興味もあった。だってライブって文化圏による違いが色濃く出るものじゃないですか。さらにライブの6割はお客さんによって決まるもんじゃないですか。どうやって盛り上がってどうやって愛情を伝えるのか、ライブに行ってさえしまえばとりあえず味わえる。もちろん箱や対象の違いはあるにせよ。
というわけで、KANA-BOON半分みてお客さん半分みて、みたいな感じで楽しんできた。おもしろいと思ったことぐだぐだ書くよ。
とりあえず、最初に思ったのは「手をあげるんだ…!」ということ。いや、どんだけ当たり前なのって感じかもしれないけれど、ほんとただただ素の手をあげる、ということがわたしには結構不思議だった。
というのもわたしが行ったことあるライブ、まぁいわゆるアイドルのライブというものは、だいたい光るペンライトやうちわを持ちながらの鑑賞がデフォルトとされているからね。それらがないと手持無沙汰でどうしていいかわからんのにどうするんだろう、と思っていたら、いやぁほんとそのまま手をあげるのねって思ってちょっと感動した。
よく見たらパーのまま手をあげている人と、人差し指と親指を軽くたてた状態で手をあげている人がいた。これは個人のスタイルなのか、それとも曲にあわせてかえているのかはわからなかった。手をあげる、って普通拳をつきあげる感じになると思うんだけれど、そうではなくて、手首より先の力が軽く抜けているっていうのはかなり違和感。不思議。おもしろい。それも「なにかを握りながら見る」という習慣がわたしに根付いているからかもしれないとも思った。
あと、「踊っている人」というのを見たのもおもしろかった。ライブで踊るってどんな感じ?って結構ずっと不思議だったんだけれど、これも見ることができてよかった。なんかボックスステップと横揺れを組み合わせたような不思議なステップをふむ感じだった。何人かが曲に合わせてとりあえずステップをふむ。曲に合わせて、と書いたけれど、合わせているのはテンポだけのようで、曲によってステップがかわっているようには見えなかった。
これもわたしが経験した「踊る」とは違っていた。アイドルの「踊る」は基本的に「手の振り」のことだ。だから手の振りがないひとたちの踊るってなんだろ?って思っていたのだけれど、見たらすぐ「踊ってる!」って思ったから、全然違うものでも同じ踊るカテゴリに入れられるという、認知の部分もなんだか面白いなと思った。
ステップを踏んでいる人や体の上下運動で踊っている人っていうのは、その場の空気を楽しんでいる感じがとてもあった。その人たちは別にKANA-BOONみてなかったと思う。これもまたアイドルのライブとは違うところで、ロックバンドのライブっていうのは本人達をみることが必ずしも第一義ではないというのも改めて感じた。もちろんこの辺はひとによると思うけれど。
ここで前から気になっているのは、アイドルクラスタでもヲタ芸をするひとなんかは本人達見えてないけれど、それはいいの?ってこと。そのアイドルを見るよりもその場が盛り上がることに意味があるのだろうか。ちょっと気になる。
とりあえずヲタ芸は置いておくとしても、「見ること」に目的の多くがあるアイドルのライブでは、基本的にステージに席が近い方が良席とされる。とにかく近くで見たいから、同じアリーナでも真ん中の方より通路の横の方がうれしい。(たいていのアイドル、というかジャニーズのライブでは通路をトロッコで通る演出がある)
音楽をきいてその場の雰囲気を味わうロックバンドのライブは席(というか場所)はあまり関係ないのかな、と思ったけどそういうわけでもないみたいで、やはり前の方の人たちの方が盛り上がっている感じがした。もちろん今回のようなフリーライブでは前の方に行く人は朝から整理券を手に入れるような「ファン度が高い人」が多いから、ということはあるだろう。
でも整理券がなくてもみられるようなスペースでも、前と後ろでは雰囲気が違うと感じた。それはあげられた手の高さひとつをとっても違う。1階のひとたちは皆手をあげていたけれど、2階からみているひとたちで手を挙げているひとは少数だった。わたしは全然KANA-BOONに詳しくないけれど、たまたま1階で見ることができて、そうしたら周りの盛り上がりにおされて同じように手をあげてみたり、手拍子をしてみたりと結構はっちゃけられたので、違いはファン度によるものだけではないと思う。
熱量はステージに近い方から綺麗にグラデーションになっている。
席がないようなライブでは、場所による役割や不文律があるんだろうな、とも思った。
他にも、おきまりの合いの手とか、手を挙げるところと手拍子をするところの違いとか、それが左右で違っちゃってるときとか、あるある!って思うときも、なんで?って思うときもいろいろあって楽しかった。
音楽とは、ライブとは、なんと身体性が高いのだろうか。初めて聞く曲もその場の空気で揃えて動くことができるなんて、これはちょっとすごい。発祥元もわからないようなもので全体が動かされて一体になっていく感覚。いつのまにか揉まれてまぎれて飲み込まれていく感覚。これこそがライブの醍醐味だ。
余談だけれど、隣にいたスクールカースト中位くらいの男子高校生の、ロックも音楽も好きなのにいまひとつノリ切れてない様子が、思春期独特の照れを感じさせ、甘酸っぱくなった。同じ学年の友達は整理券とって前の方にいるらしく、その子はその自我をひとつクリアしちゃってる感じもまたまぶしくて、なんだか良いものをみましたな。